2025年の私の仕事とプライベートを振り返ります。
新卒で就職した2020年から、年末に毎年の振り返りを社内向けドキュメントツールに書いていたのですが、今年から自分のブログで書くことにしました。所属する会社が変わって過去の振り返りにアクセスできなくなってしまったことが1つの要因です。
コーディングエージェント
今年の大きなトピックはコーディングエージェントの台頭です。昨年の暮れ頃からCursorの存在は知っていましたが、まだまだ実戦投入できるレベルではないと(側から見ている分には)感じており、手を出せていない状態でした。
Cursorを使い始める
昨年末に大きなリニューアルプロジェクトのリリースが完了して以降精神的に少し余裕が出てきたこともあり、年明けからCursorを触り始めました。ベースとなるルールをある程度用意しつつ、Cursor Agent(当時のComposer機能。今ではCursorの提供するモデル名となっておりややこしい)が意図通り動いてくれるような具体的な指示を与えるコツもつかめてきました。
この段階ですでに業務での活用が可能だと感じ始めており、比較的難易度の低い実装タスクで利用を始めました。
Claude Codeの登場
大きな転機はClaude Codeの登場と普及です。AnthropicのClaude CodeはCLI型のコーディングエージェントで、(Devinなどは流行していたものの)それまでのエディタに付属するコーディングエージェントとは異なる様相で世に出てきました。
エディタ型からCLI型・自律型へと多様化するコーディングエージェント
はじめに:コーディングエージェントの新たな分類 今年初めに筆者が投稿した「ClineとAIコーディングツールの現状」ではAIコーディングツールを「コード補完」「チャットアシスタント」「コーディングエージェント」の3つに分類しました。しかし現在では「エージェント」が包括的な概念となり、この区別の必要性が薄れています。 さらに現在は役割や機能ではなく * コーディングエージェントがどこまで自律的に開発プロセスに関与するのか * 開発タスクが実行される環境はどこか * ユーザーとの対話インターフェイス が本質的な違いになってきました。 本記事では、こうした変化を踏まえて解説します。 本記事の分類について 「AI Agents Are Here. What Now?」ではAIエージェントの重要な特性の一つとして「自律性(autonomy)」が挙げられています。「自律的(agentic)」であるとは、ある目標が与えられた際に、それをサブタスクに分解し、各サブタスクを人間の直接的な介入なしに実行して解決できることを指します。 AI Agents Are Here. What
Maxプランの使い放題やOpusモデルの登場により爆発的に普及し、私もMaxプランを個人で契約してしばらく使い倒しました。これを書いている現在もClaude Codeは私のメインのコーディングエージェントであり、業務やプライベートでの開発における心強い相棒になっています。
開発プロセスの変化
Claude Codeの活用を通じて、コーディングエージェントに渡すコンテキストの整備やコーディングエージェントが自律してタスクを完了させるべく実施する様々なテクニックを実践していく中で、昨年にはイメージできなかった「人間がほとんどコードを書かなくても開発ができる状況」がかなり現実味を帯びてきたと感じました。
私たちのような決して大規模ではない組織の開発であっても、コーディングそのものではなく自動テストやCIの整備、アーキテクチャや設計方針・スタイルガイドの明文化などを実行・改善し続けることの重要性が増しています。
AI時代のソフトウェア開発を考える(2025/07版) / Agentic Software Engineering Findy 2025-07 Edition
AI時代のソフトウェア開発を考える(2025/07版) 開発生産性 Conference 2025 2025年 7月4日(金) https://dev-productivity-con.findy-code.io/2025

LLM周りのキャッチアップについて
一方、LLM周りのモデルやツール・サービスのアップデート速度は非常に速く、キャッチアップにかなりのコストがかかるという声も聞きます。自分はWebフロントエンド界隈でそれなりの速度の変化を体験してきた立場なのであまり苦には感じていないです。というより、今自分が知っている情報と新しい情報の差分を埋めていく作業が要領良くできているのだと思います。
仕事
前半の業務とチームリード
先述した昨年の大規模なリニューアルが終わり、今年の前半は一般的な機能開発や保守運用を行っていました。途中から開発組織を小さく分割したチームのリードの役割を任され、いわゆるリーダー業務も担うようになりました。
CMS移行プロジェクト
今年の後半は長年内製してきたオウンドメディアのCMSをWordPressに移行してリニューアルするプロジェクトをリードする立場として集中して取り組みました。
技術的にはチームメンバー全員がPHP・WordPressともに未経験または熟達していませんでしたが、事前に情報収集や技術検証をする時間をそれなりに設けたり、LLMをフル活用した開発体制で取り組んだりすることで、約3ヶ月の短期間で移行を完遂できました。Geminiによる情報収集やClaude Codeによるコーディングの活用がなければこの期間での開発は難しかったと思います。
上記のプロジェクトの過程でClaude Codeを使ったSDDライクなPlanシステムを作成したりしました。詳細は以下の記事に書いています。
チームに合わせたplan.md生成・管理システムを構築する

プロジェクトの期間としてはそれほど長いものではありませんでしたが、プロジェクトの計画を策定したり社内のメディアチームと仕様を詰めたりしながら開発プロジェクトを完遂できたことは非常に大きな経験になったと思います。
WordPress自体は枯れたCMSであり、実現したい仕様を簡易に実現できるサードパーティのプラグインや素晴らしいマネージドサービスの存在でかなり開発工数を短縮できたのは良かったですし、WordPressプラグインの提供でビジネスが成り立つような巨大な市場・エコシステムに触れることができたことも良い経験でした。また、最新のWordPressで採用されているブロックエディターではオリジナルのブロックをReactで作成できることも技術的に面白かったです。
転籍とグループアウト
昨年6月に新卒から所属していたマネーフォワードからグループ会社のスマートキャンプに100%主務として出向していましたが、今年の6月に完全転籍しました。また、11月にスマートキャンプがマネーフォワードグループからグループアウトしたことでマネーフォワードグループからも完全に離れることとなりました。このような経緯もあり非常にヌルっと退職することになってしまいました。
マネーフォワードでは大規模なリニューアルプロジェクトや横断フロントエンド組織の立ち上げなど様々なチャレンジをさせてもらいました。様々な方と一緒に仕事をして大変お世話になりました。
マネーフォワードのフロントエンドを前に進めるフロントエンド推進グループの紹介 - Money Forward Developers Blog
こんにちは、フロントエンド推進グループのthincellerです この記事は、Money Forward Engineering 1 Advent Calendar 2022 3日目の投稿です。 2日目はichiさんで 私の英語学習法とその結果~iOSエンジニアの場合~ でした。 今回は、私が今年立ち上げたtoB領域のプロダクトにおける横断的なフロントエンド課題を解決するチーム「フロントエンド推進グループ」について紹介します。
スマートキャンプでは今期からフロントエンドのテックリードの役割を担うことになっています。引き続きWebフロントエンドに軸足を置きながらプロダクト開発に従事していきます。
プライベート
趣味の面では大きな変化はあまりなく、ストリートファイター6をちまちまやったり例年通りYouTubeでにじさんじを見たりしていました。最近の話ですが、鈴原るるさんが復帰されたことは非常に嬉しかったです。夜中の作業時に彼女の配信を作業BGMにしていた過去もあり、また彼女の配信が日常になることを喜ばしく思います。
Claude Maxプランを契約していた期間を中心にこのサイト含めプライベートでも開発する時間が増え、AIの恩恵をポジティブな方面で受けていると思います。基本的にプライベートの時間でインプットしてそれを業務でアウトプットする形を長らく取っていたところから、プライベートでもAIを使って気軽にアウトプットできるようになった点は個人的に大きな変化でした。以前から欲しいと思っていたChrome拡張機能を作って公開してみたりもしました。
Cosense Linker - Chrome Web Store
Save web page information to Cosense (formerly Scrapbox) with one click
また、一度解約してしまったジムも今年半ばに再度契約し、定期的な運動を心がけるようにしています。ゴリゴリに筋肉をつける目的でもないので、食事はあまり気にせずワークアウトを継続することにフォーカスしています。
2026年の目標
毎年言っている気がしますが、今年こそアウトプットを習慣化したいです。LLMが業務に影響を与えている状況であったり、自分のステップアップのためにもコードではない文章を多く書いていくことは重要であり、zenn.devやこのサイトでのブログ投稿を含めて文章を書く量を大幅に増やしていこうと考えています。
また、少し具体的になりますがいくつかの明確な制作物を持ちたいです。自分用のものでいいのでAIエージェント開発をしたいですし、普段使わない言語を用いたツール開発なども行いたいと思っています。今年は少しHaskellを触ったりしたのですが、具体的に何を作るのかがあまり思い浮かばず、結局あまり身についていません。今は多少難易度が高いものであっても、設計相談や実際のコーディングまでLLMの力を借りることができ、「こういうものを作りたいが腰が重いなぁ」といったものも少ない時間で作れる時代になりました(先述のChrome拡張機能などは最たる例です)。
何かを作り、それを通して得た知見を文章化して発信するという、王道だが確実なアウトプットループを作れるようにしていきたいですね。
まとめ
LLMおよびAIエージェントが仕事とプライベート双方を大きく変えてしまった1年でした。働き方が変わったことはもちろん、プライベートでのアウトプットにも変化が起きたことは非常にポジティブです。
時代の流れに乗り遅れないように、来年以降も自分のできる成長を続けていく所存です。